【概要】
かつての刑場や墓地跡を開発して興行街とした、「難波」エリアの中心地。法善寺の門前町として栄え、芝居小屋や演芸場が密集。「食い倒れ」の街・大阪を象徴する飲食店街としても有名です。
【歴史】
千日前は、大阪府大阪市にある繁華街です。寛永十四年にあたる一六三七年、宇治から移ってきた法善寺で住職が千日にわたる念仏回向を勤めたことから、寺は「千日寺」と呼ばれるようになり、その門前を意味する地名が生まれたと伝わります。江戸時代のこの一帯は市街地の南の端にあたり、墓地や火葬場、刑場が置かれた、人々が死者を弔うために足を運ぶ、ひっそりとした場所であったと伝わります。
【特徴】
明治に入って墓地が阿倍野へ移され、刑場も廃止されると、その跡地は一転して興行の街へと生まれ変わります。明治末に起きたミナミの大火をきっかけに区画が整えられ、劇場や活動写真館、飲食店が次々と集まるようになりました。やがて東京の浅草、京都の新京極と並ぶ盛り場と称され、今もアーケードの商店街を中心に人波の絶えない、ミナミの中心的な繁華街として親しまれ続けています。
【見どころ】
千日前の顔となっているのは、一九八七年に開場したなんばグランド花月です。漫才と新喜劇が毎日のようにかかり、劇場の前には開演前から行列ができます。少し北へ入れば石畳の法善寺横丁が延び、苔にびっしりと覆われた水掛不動尊に水を掛けて祈る人が絶えません。調理道具の専門店が並ぶ千日前道具屋筋商店街も近く、食い倒れの街らしい買い物までひととおり楽しめる一帯です。
【トリビア】
法善寺横丁は、織田作之助の小説『夫婦善哉』の舞台として知られ、横丁には作家にちなむ碑や名を冠した店が置かれています。地名に残る「千日」は法善寺で営まれた千日念仏に由来するとされますが、それは同時に、刑場や墓地が置かれていた土地の記憶をとどめる名でもあります。今日の千日前が見せる陽気な喧騒は、そうした長い歴史の上に幾重にも重ねられてきたものだといえるでしょう。


