【概要】
西明寺は滋賀県甲良町にある天台宗の寺で、龍応山と号し、本尊は薬師如来です。承和元年(834年)に三修上人が仁明天皇の勅願によって開いたと伝えられます。鎌倉時代に建てられた本堂と三重塔はともに国宝で、三重塔の内部には極彩色の壁画が残ります。江戸時代につくられた蓬莱庭や、秋から春にかけて花をつける不断桜でも知られ、湖東三山のうち最も北に位置する寺です。
【歴史】
西明寺は、承和元年(834年)に三修上人が仁明天皇の勅願によって開いたと伝えられる寺です。元亀2年(1571年)、織田信長が比叡山を焼き討ちした折にはこの寺も焼かれるはずでしたが、僧たちが山門近くの坊舎に火を放ち、全山が燃え落ちたように見せかけたため、奥にあった本堂と三重塔は難を逃れたと語り継がれています。
【特徴】
本堂は鎌倉時代の和様の仏堂で、入母屋造、檜皮葺の七間四方の建物です。もとは五間四方の堂でしたが、解体せずに柱や組物を外側へ移して広げたことが、天井裏に残る古い屋根の跡からわかっています。三重塔も鎌倉時代の建築で、檜皮葺の屋根が軽やかな弓なりの軒を重ねています。本堂と三重塔は、昭和27年(1952年)にそろって国宝に指定されました。
【見どころ】
三重塔の初層の内部には、巨勢派の絵師によるとされる極彩色の絵が描かれています。中心に大日如来像を据え、四本の柱には金剛界曼荼羅の三十二菩薩、壁には法華経の世界が表され、鎌倉時代の塔の壁画として貴重なものです。本坊の蓬莱庭は延宝元年(1673年)に望月友閑がつくった池泉回遊式の庭で、刈り込みで薬師如来の浄土を表しています。
【トリビア】
境内に立つ不断桜は滋賀県の天然記念物に指定された桜で、秋から春にかけて花をつけ続ける性質をもっています。そのため晩秋には、紅葉と桜の花を同じ景色のなかで眺められることがあります。参道の先に立つ二天門は室町時代の初めに建てられた杮葺きの八脚門で、重要文化財に指定されています。境内一円には、およそ1000本のもみじが植えられているといわれます。
