【概要】
日光東照宮の表参道の入り口にそびえ立つ「一ノ鳥居」は、日本最大級の石造りの明神鳥居として知られています。江戸時代初期の1618年(元和4年)、九州の筑前藩主である黒田長政によって奉納されました。九州から船と陸路を使ってはるばる運ばれた巨大な花崗岩を15個のブロックに分けて組み合わせて作られています。高さ約9.2メートル、柱の直径は約1.2メートルにも及び、周囲の樹齢数百年の鬱蒼とした杉並木と見事に調和し、東照宮の荘厳な雰囲気を醸し出すシンボルとなっています。
【歴史】
この石鳥居は、徳川家康を祀る日光東照宮が造営された直後の1618年(元和4年)に、家康に深く恩義を感じていた筑前福岡藩の大名・黒田長政によって奉納されました。使用されている石材は、長政の領地であった九州(現在の糸島市(福岡県)周辺)で採掘された良質な花崗岩です。巨大な石を九州から船で関東へ運び、さらにそこから大勢の人力で日光の山中まで引き上げて組み立てるという、当時の最高レベルの土木技術と莫大な労力が注ぎ込まれた大事業でした。
【特徴】
鳥居の高さは約9.2メートル、2本の柱の間隔は約6.7メートルと、江戸時代に建てられた石鳥居としては日本最大の規模を誇り、国の重要文化財に指定されています。最大の特徴はその耐震構造にあります。全15個の巨大な石のブロックをパズルのように組み合わせて造られており、あえて各パーツの接合部に「遊び(隙間)」を設けることで、地震の揺れを逃がす免震効果を発揮しています。この緻密な計算により、東日本大震災など数々の大地震にも耐え、一度も倒壊したことがありません。
【見どころ】
表参道の緩やかな石段を登っていくと、周囲の巨大な杉並木の間に突如として現れる重厚な石の姿は圧巻です。鳥居を見上げると、中央には「東照大権現(とうしょうだいごんげん)」と書かれた立派な扁額(へんがく)が掲げられています。この文字は、後水尾(ごみずのお)天皇の直筆によるものと言われています。また、鳥居をくぐった先から振り返って見る景色や、雨上がりにしっとりと濡れて黒光りする花崗岩の重厚な質感も、独特の神聖な美しさを放っています。
【トリビア】
日光東照宮のパワースポットとして有名なのが、この石鳥居から陽明門に向かって続く参道の、とある特定の石畳です。鳥居をくぐって数えて3つ目の石畳の中心に立つと、正面にすっぽりと鳥居の中に陽明門が収まって見えます。ここは、江戸城(現在の皇居)へ向かって強力な気が流れるとされる「龍道」の出発点にあたり、日光東照宮の中でも最強のエネルギーが集まる場所と言われているため、多くの参拝者がここで立ち止まって写真を撮る人気のスポットとなっています。
