【概要】
声良鶏は、秋田県や岩手県など東北北部で飼育されてきた大型の鶏。その名の通り「声が良い」ことが最大の特徴で、低音で太く、長く余韻のある鳴き声を持つ。口を閉じて鳴く独特の唱法も見られる。
【歴史】
声良鶏は、秋田県大館市を含む米代川流域で江戸時代から飼われてきた大型の長鳴鶏です。越後から伝わった唐丸と地元の地鶏を掛け合わせて作り出されたとされ、明治二十年代以降にはプリマスロック種との交配も行われて現在の姿へ整えられました。昭和12年(1937年)12月21日に国の天然記念物に指定され、以後は保存会の手によって血統と系統が守り伝えられています。
【特徴】
声良鶏はその名のとおり声の良さが身上で、太く低い声に調子をつけながら、ゴッゴ、ゴーオと荘厳に鳴き上げます。体重は三・五キロから五キロに達する大型種で、軍鶏に似たがっしりとした体つきと、柏と呼ばれる褐色系の羽色が特徴です。北国の厳しい寒さにもよく耐え、十数秒にわたって山あいに響く重厚な鳴き声は、聞く者に威厳すら感じさせるといわれ、低音の長鳴鶏としては日本を代表する存在です。
【見どころ】
秋田県大館市にある秋田三鶏記念館では、声良鶏と比内鶏、金八鶏という三種の鶏を実際に見ることができ、運がよければ長く響く鳴き声に出会えます。冬の間は閉館となるため、訪ねる時期には注意が必要です。地元では愛好家による鳴き合わせ会も開かれており、声の長さや音色、調子の良さを競い合う伝統が今も受け継がれています。大館市は比内地鶏の本場としても知られ、鶏にまつわる文化を一度に味わえる土地です。
【トリビア】
声良鶏は同じ秋田生まれの比内鶏、金八鶏とともに秋田三鶏と総称され、いずれも天然記念物として保護されています。食用として名高い比内鶏に対し、声良鶏はもっぱらその声を愛でるために飼われてきた点が大きな違いです。飼育されている羽数は決して多くなく、保存会が血統を管理しながら繁殖を続けており、地域の誇りとして大切に守られ、鳴き声を絶やさぬ努力が重ねられています。


