【概要】
飯坂温泉は福島県福島市にある温泉地で、摺上川の両岸に旅館が立ち並び、宮城県の秋保温泉・鳴子温泉とともに奥州三名湯に数えられています。日本武尊が東征の折に立ち寄ったという伝説が残る古湯で、古くは「鯖湖の湯」と呼ばれました。元禄2年(1689年)には松尾芭蕉が『おくのほそ道』の旅の途中に泊まっています。温泉街には地元の人が通う共同浴場が点在し、湯めぐりを楽しめます。
【歴史】
飯坂温泉の始まりは古く、日本武尊が東征の折に立ち寄ったという伝説が残っています。古くは「鯖湖の湯」と呼ばれ、平安時代の歌人西行が「あかずして別れし人のすむ里は左波子の見ゆる山の彼方か」と詠んだと伝えられています。元禄2年(1689年)には松尾芭蕉が曾良とともに訪れて一夜を明かしましたが、雨漏りがして蚤や蚊に悩まされた粗末な宿だったと『おくのほそ道』に書き残しています。
【特徴】
飯坂温泉の湯は単純温泉で、観光協会の案内では温度58.5度、pH8.48の弱アルカリ性とされ、無色透明でかすかな苦みがあります。旅館は摺上川と支流の赤川に沿って連なり、大正13年(1924年)に福島の市街と結ぶ電車が開通してからは、福島の奥座敷として多くの客を迎えてきました。昭和48年(1973年)には年間の観光客がおよそ177万人に達したとされ、東北でも指折りの温泉街に育ちました。
【見どころ】
温泉街の中ほどにある鯖湖湯は飯坂温泉で最も古いとされる共同浴場で、芭蕉もこの湯に入ったと伝えられています。日本最古の木造共同浴場として親しまれてきた建物は、平成5年(1993年)に明治時代の共同浴場の姿を再現して改築されました。近くの旧堀切邸では、安永4年(1775年)に建てられた福島県内で最大かつ最古とされる土蔵「十間蔵」を見学でき、源泉の湯を使った足湯と手湯もあります。
【トリビア】
飯坂温泉では毎年10月、飯坂八幡神社の秋の例大祭として飯坂けんか祭りが開かれ、大阪の岸和田のだんじり祭、秋田の角館の祭りとともに日本三大けんか祭りの一つといわれています。本祭りの夜の宮入りでは、六つの町の太鼓屋台が神輿の行く手をふさぐように激しくぶつかり合い、提灯の明かりが揺れる勇壮な光景が温泉街に広がります。祭りの太鼓は京都の祇園囃子の流れをくむとされています。
