【概要】
江島神社奥津宮は、神奈川県藤沢市の江の島の奥、島の南西側の高台に鎮座する宮で、三姉妹の長女とされる多紀理比賣命を祀ります。かつては岩屋に祀られた本宮の御旅所でした。拝殿の天井に描かれた八方睨みの亀や、源頼朝が寄進したと伝わる石鳥居など、島の奥まで足を延ばした人だけが出会える見どころが今も数多く残っています。
【歴史】
江島神社奥津宮の地は、神仏習合の時代には島の南端の岩屋に祀られた本宮の御旅所で、祭礼の折などに岩屋から神を遷す場所でした。本宮は別当寺の岩本坊が管理していました。明治初年の神仏分離ののち、岩屋の本宮の祭神をこの地に移して奥津宮と称するようになりました。現在の社殿は天保12年(1841年)の火災で焼けた翌年に再建されたもので、2011年に改修されています。
【特徴】
江島神社奥津宮の祭神は、宗像三女神の長女とされる多紀理比賣命です。参道の店がにぎわう島の入口側とは趣が異なり、木々に囲まれた静かな高台に建っています。隣には江の島の弁財天信仰の発祥の地とされる岩屋本宮の真上にあたる場所に、龍宮大神を祀る龍宮が鎮座し、岩を組んだ社の上から大きな龍の像が鋭い眼光で参拝者を見下ろしています。
【見どころ】
江島神社奥津宮の拝殿の天井には、江戸時代の絵師酒井抱一が描いた亀の絵があります。どの方向から見上げても亀にじっと睨まれているように見えることから八方睨みの亀と呼ばれ、藤沢市の有形文化財に指定されています。現在見られるのは1994年に復元されたものです。宮の入口に立つ石鳥居は源頼朝が寄進したと伝わり、鎌倉の武士たちの信仰を今に伝えています。
【トリビア】
軍記物語の太平記には、北条時政が江の島に参籠して子孫の繁栄を祈ると、美しい女性が現れて願いを聞き届け、大蛇の姿となって海へ去ったあとに三枚の鱗を残したという話が記されています。これが北条氏の家紋である三つ鱗の由来とされます。江島神社奥津宮から石段を下った先の岩屋は、この話とも結びつけて語られ、江島神社の始まりの地として今も多くの参拝者が訪れます。
