【概要】
江島神社中津宮は、神奈川県藤沢市の江の島の中腹、辺津宮からさらに石段を上った先に建つ朱塗りの宮です。宗像三女神のうち市寸島比賣命を祀り、神仏習合の時代には上之宮と呼ばれていました。元禄期の権現造を再現した色鮮やかな社殿と、江戸の歌舞伎の芝居小屋が奉納した石灯籠が並ぶ境内に、芸能の神として崇められてきた歴史がうかがえます。
【歴史】
江島神社中津宮は、仁寿3年(853年)に慈覚大師円仁が創建したと伝わります。神仏習合の時代には上之宮と呼ばれ、別当寺の上ノ坊が管理していました。元禄2年(1689年)には五代将軍徳川綱吉によって社殿が再建され、いまの社殿はその姿を再現したものです。平成に入ってからも1996年と2011年に大がかりな改修が行われ、鮮やかな朱色の社殿がよみがえりました。
【特徴】
江島神社中津宮の祭神は、宗像三女神のなかで絶世の美女と伝わる市寸島比賣命です。そのため美しくなりたいと願う参拝者が多く訪れます。社殿は本殿・幣殿・拝殿を一続きにつないだ権現造で、全体が朱で塗られています。拝殿の格天井には四季の花や鳥を描いた154枚の絵がはめ込まれ、見上げると天井一面が華やかな花鳥画で埋め尽くされている様子に驚かされます。
【見どころ】
江島神社中津宮の境内には、江戸の歌舞伎の芝居小屋である市村座や中村座が奉納した石灯籠が立ち並び、安永6年(1777年)や天明2年(1782年)に奉納されたものが知られています。芸能の上達を願った役者や興行主の篤い信仰を物語る品です。社殿の左手奥には水琴窟があり、水に浸すと文字が浮かび上がる水みくじを引けます。春には枝垂れ桜が朱の社殿に彩りを添えます。
【トリビア】
江戸時代の江の島は、大山詣でと組み合わせて訪ねる行楽地として庶民に親しまれ、歌川広重らの浮世絵にも参詣のにぎわいが描かれました。弁財天は音楽や芸能の神とされたため、とくに歌舞伎役者や音曲に携わる人々の崇敬が厚く、江島神社中津宮に残る芝居小屋の石灯籠はその名残です。境内の枝垂れ桜も、石灯籠とともに歌舞伎の芝居小屋が寄進したものと伝えられています。
