【概要】
電気洗濯機は、たらいと洗濯板を使った重い家事から人々を解き放ち、昭和の三種の神器のなかで最初に広まり始めた家電です。1957年の消費動向調査では、都市の非農家世帯の20.2%がすでに持っていました。1953年に手ごろな噴流式の機種が登場して人気に火がつき、愛知県北名古屋市にある昭和日常博物館では、昭和の家電や生活道具とともに当時の暮らしぶりを間近に見られます。
【歴史】
国産で初めての電気洗濯機は、1930年に芝浦製作所、いまの東芝が売り出した撹拌式のソーラーとされます。ただし当時の価格は庶民の手に届かず、戦後もしばらくは高級品のままでした。流れが変わったのは1953年で、三洋電機が角形で小ぶりな噴流式の洗濯機を発売すると大きな評判を呼び、各社が後に続いたことから、この年は電化元年とも呼ばれるようになりました。
【特徴】
昭和30年代の電気洗濯機の多くは、洗いだけを電気で行う一槽式で、上部に手回しのローラー式絞り機が付いていました。洗い終えた衣類を二本のローラーの間に通し、ハンドルを回して水気を押し出す仕組みで、ボタンが割れたり衣類が平たく押しつぶされたりすることもありました。洗いから脱水までを一台でこなす二槽式や全自動式が広まるのは、もう少しあとの時代です。
【見どころ】
愛知県北名古屋市にある昭和日常博物館は、市の歴史民俗資料館の愛称で、市役所東庁舎の西隣に建つ東図書館の3階にあります。館内には昭和の台所用品や家電、おもちゃ、ポスター、看板などがぎっしりと並び、テレビや冷蔵庫、洗濯機といった家電も暮らしの道具として展示されています。写真の撮影ができるのも特色で、展示の内容は企画展などによって入れ替わります。
【トリビア】
昭和日常博物館という呼び名は、1997年に開かれた特別展で、フロア全体を昭和30年代の資料で埋め尽くしたことをきっかけに広まったとされます。ありふれた日用品こそ集めて残すという発想は、当時の博物館としては新鮮なものでした。北名古屋市は、懐かしい生活道具を手がかりに高齢者が思い出を語り合う回想法の取り組みでも知られ、館の資料がその場でも活かされています。