【概要】
湯島天満宮は、文京区の本郷台地の東の縁に建つ神社で、湯島天神の名で親しまれています。雄略天皇の時代に天之手力雄命を祀ったのが始まりと伝えられ、1355年に菅原道真が合わせて祀られました。江戸時代から梅の名所として知られ、学問の神を頼って受験生が数多く訪れます。境内は泉鏡花の『婦系図』ゆかりの地としても知られ、白梅とともに語られてきました。
【歴史】
社伝では、湯島天満宮は雄略天皇二年にあたる458年に天之手力雄命を祀ったのが始まりとされ、1355年に土地の人々の願いで菅原道真が勧請されました。1478年には江戸城を築いた太田道灌が社殿を再建したと伝わり、徳川家康も江戸に入ったのちに崇敬を寄せています。江戸時代には境内で富くじが催され、多くの文人や学者が参拝する学問の社として栄えました。
【特徴】
現在の社殿は1995年に建て替えられた総檜造りで、本殿と拝殿を幣殿でつないだ権現造りの構えです。白木の木肌に金色の飾り金具が映える社殿は、平成の再建ながら伝統の技法を受け継いでいます。本郷台地の東の縁に位置するため、急な石段の男坂と、ゆるやかな女坂という二つの坂で低地とつながっているのも、湯島天満宮ならではの地形です。
【見どころ】
湯島天満宮は江戸時代から梅の名所として知られ、境内には白梅を中心におよそ300本の梅が植えられているとされます。例年2月から3月上旬にかけて梅まつりが開かれ、晩秋には菊まつりも催されます。受験の季節には合格を願う絵馬が社殿の脇を埋め尽くし、学問の神を頼る人々の思いが伝わってきます。境内には迷子探しに使われた奇縁氷人石も残ります。
【トリビア】
泉鏡花の『婦系図』が新派の舞台にかけられた際、鏡花自身が書き下ろした湯島境内の場で、主人公が恋人に別れを告げる場面が評判となりました。この物語をもとにした歌謡曲『湯島の白梅』も広く歌われ、湯島と白梅の結びつきを全国に印象づけています。境内には新派の記念碑や鏡花の筆塚が建ち、江戸時代に奉納された銅製の鳥居も参拝者を迎えています。
