【概要】
谷保天満宮は、国立市の谷保に鎮座し、菅原道真とその三男の道武を祀る神社です。社伝では903年、父の左遷に連座してこの地に流された道武が、父の死を知って像を刻み祀ったのが始まりとされ、東日本で最も古い天満宮と伝えられます。甲州街道から石段を下った森の中に社殿が建ち、境内を鶏が歩く素朴な風景と、例年2月から3月に咲く梅林で知られています。
【歴史】
社伝によれば、菅原道真の三男の道武は父の大宰府への左遷に連座して武蔵国多摩郡に流され、903年に父の訃報を聞いて自ら像を刻み祀りました。これが谷保天満宮の始まりとされ、はじめは現在の府中市側にあった社が、1181年に今の地へ移されたと伝えられます。鎌倉時代には後宇多天皇の勅命で扁額が奉納されるなど、古くから朝廷や武家の崇敬を集めました。
【特徴】
谷保天満宮は、甲州街道から石段を下りた先に社殿が建つ珍しい構えで、参道を下って参拝することから下り宮とも呼ばれます。立川段丘の崖下に広がる社叢には古木が茂り、崖の下からは常盤の清水と呼ばれる湧き水がわき出しています。社殿が南を向いているのは、かつての甲州街道が段丘の下を通っていたためとされ、土地の地形と街道の歴史を今に伝えています。
【見どころ】
境内にはおよそ350本の梅が植えられた梅林があり、例年2月から3月上旬にかけて紅白の花が咲きそろい、梅まつりが開かれます。また境内では数羽の鶏が放し飼いにされ、森に響く鳴き声やのんびりと歩く姿が参拝者を和ませています。宝物殿には、藤原経朝が書いた天満宮の扁額や木造の獅子狛犬など、国の重要文化財に指定された宝物が伝わっています。
【トリビア】
谷保天満宮は、野暮天という言葉の由来になったという説で知られます。江戸で出開帳をした際、狂歌師の大田南畝が谷保の天神を詠み込んだ歌がもとになったと伝えられます。また1908年には有栖川宮威仁親王らによる自動車の遠乗り会が当社を訪れ、一行が無事に帰り着いたことから、谷保天満宮は交通安全祈願の発祥の地とされています。
