【概要】
八女提灯は福岡県八女市で生産される日本三大提灯産地の一つ。19世紀初めに場提灯として始まり、竹骨を一条螺旋式に改良した独自の技法が特徴。薄い和紙に山水や花鳥の彩色画が描かれ、全国一の生産量を誇る盆提灯の名産地。
【歴史】
八女提灯は、江戸時代後期の文化年間ごろ、福岡県八女市の中心となった旧福島町のあたりで作られ始めた素朴な「場提灯」が原型と伝わります。安政年間には職人の吉永太平が、一本の長い竹ひごを螺旋状に巻く一条螺旋式の骨組みと、薄い手漉き和紙の使用を確立し、産地の基礎を築きました。2001年には経済産業大臣指定の伝統的工芸品となり、筑後の盆や祭を彩る灯りとして受け継がれています。
【特徴】
最大の特徴は一条螺旋式の骨組みで、継ぎ目が少なく、滑らかで均整のとれた形を生み出します。火袋には地元で漉かれた薄手の和紙を用い、内側から光を通したときの美しさを徹底して追求してきました。絵柄は山水や花鳥、草花などの彩色画が中心で、涼やかで品のある意匠が好まれます。八女提灯は提灯の生産量で全国一を誇り、その約九割を盆提灯が占めています。
【見どころ】
八女市の中心部では、毎年9月の秋分の日を含む三日間に「八女のまつり あかりとちゃっぽんぽん」が開かれます。福島八幡宮の境内に組まれた屋台では、国の重要無形民俗文化財である八女福島の燈籠人形が舞い、白壁の町並みには数多くの提灯が灯されます。八女提灯と燈籠人形、そして電照菊の栽培という、この土地が育んできた「あかり」の文化を一度に味わえる貴重な機会となっています。
【トリビア】
近年はLEDを組み込んだコードレス型や、洋室にもなじむ簡素な意匠のインテリア照明など、現代の暮らしに合わせた商品開発が進んでいます。骨巻きから紙張り、絵付けまで多くの工程が分業で受け継がれ、伝統工芸士が技を次の世代へ伝えています。八女は良質な竹と和紙、そして澄んだ水に恵まれた土地であり、その風土が長く提灯づくりを支えてきました。

