【概要】
岐阜提灯は岐阜県岐阜市で生産される日本三大提灯産地の一つ。美濃和紙と竹を主原料とし、繊細で優美な形と絵柄が特徴。岐阜県は提灯の生産額が日本一を誇り、江戸時代から続く伝統技法で美しい盆提灯や装飾提灯を製作している。
【歴史】
岐阜提灯は、岐阜県岐阜市にある工房や問屋によって受け継がれてきた提灯です。起源には諸説あり、慶長年間に始まったとする説のほか、宝暦年間に岐阜の提灯屋十蔵が製作して尾張藩に上納したのが始まりとも伝わります。文化・文政期には草花を描いた提灯が広まり、天保期になると薄紙を張った絵提灯が岐阜提灯の名で呼ばれるようになり、江戸でも評判を集めました。
【特徴】
主な材料は、地元で漉かれる薄く丈夫な美濃和紙と、細く割いた竹ひごです。極細のひごを卵形に組み、透けるほど薄い紙を張り上げるため、灯をともすと絵柄が柔らかく浮かび上がります。秋草や風景を描いた繊細優美な火袋が身上で、1995年には経済産業大臣指定の伝統的工芸品となりました。提灯の生産額では全国でも一、二を争う産地として知られています。
【見どころ】
盆に先祖の霊を迎える盆提灯の名品として知られ、吊り提灯や置き提灯など形も多彩です。彫刻家のイサム・ノグチは1951年に岐阜を訪れてこの提灯に出会い、地元の工房と組んで光の彫刻「AKARI」を生み出しました。三十年以上をかけて200種類を超える作品が作られ、現在も岐阜提灯の技術で製作が続けられており、世界中の住まいを照らしています。
【トリビア】
絵付けには筆による手描きのほか、「摺込絵」と呼ばれる技法が使われます。伊勢型紙を当てて色を摺り込み、刷毛でぼかしながら重ねていく方法で、明治以降の量産と近代化を支えました。骨組みから紙張り、絵付け、仕上げまで多くの工程を分業でこなす熟練の職人技が、岐阜提灯ならではの淡く幻想的な色合いと、手に取ると驚くほど軽やかな姿を今日まで守り続けているのです。
