【概要】
埼玉県西部を中心に生産される茶で、生産量の約6割を入間市が占めます。鎌倉時代に武蔵国で始まったと伝わり、江戸時代後期に吉川温恭らが再興して「狭山茶」の名が生まれました。寒い産地ゆえの肉厚な葉と、強い火入れで仕上げる「狭山火入れ」が生む甘く濃厚なコクが持ち味で、「味は狭山」と歌われます。
【歴史】
狭山茶の歴史は鎌倉時代、武蔵国の川越に建つ中院で茶の栽培が始まったと伝わることに遡ります。その後一時衰えましたが、江戸時代後期に狭山丘陵北麓の二本木村西久保、現在の埼玉県入間市宮寺の吉川温恭と、坊村の村野盛政らが煎茶づくりを始め、ここで作られた茶に初めて「狭山茶」の名が付けられました。明治以降は海外への輸出も盛んになり、埼玉県を代表する特産品として今に受け継がれています。
【特徴】
「味は狭山でとどめさす」と茶摘み歌に歌われる狭山茶は、甘く濃厚なコクが持ち味です。茶産地としては日本の北限に近く、冬の寒さに耐えるため葉が肉厚になり、年に二回しか摘採しないことで一枚一枚の葉に旨みが凝縮されます。仕上げの工程で強めの火を入れる伝統の「狭山火入れ」によって香ばしい香りと深い味わいが生まれ、少量の茶葉でもしっかりとした濃さを楽しめる点が他の産地との大きな違いです。
【見どころ】
狭山茶の主産地である入間市には、お茶をテーマにした入間市博物館ALITがあり、狭山茶の歴史や製法から世界の茶文化まで幅広い展示を楽しめます。周辺の金子地区や宮寺地区には茶畑が広がり、5月の新茶の時期には摘みたての茶葉の香りが一帯に漂います。市内の茶園には直売所での試飲や、茶摘み・手もみの体験を受け入れているところもあり、生産者の話を聞きながら狭山茶を味わえるのが魅力です。
【トリビア】
狭山茶という名前から狭山市の特産と思われがちですが、実際の生産の中心は入間市で、狭山茶全体の約6割を担っています。名前は産地一帯が古くから「狭山」と呼ばれた丘陵地帯にあることに由来します。また埼玉県内だけでなく東京都の西多摩地域でも同じ製法の茶が作られ、狭山茶として出荷されています。生産量では静岡や宇治に及びませんが、味の濃さでは三大銘茶の一角を占め続けています。




