【概要】
大杉谷は三重県大台町にある日本三大峡谷の一つで、吉野熊野国立公園内に位置する。日本有数の多雨地帯にあり、数多くの滝が点在することでも知られる。原生林に覆われた深い渓谷は登山・ハイキングコースとして人気で、「近畿の秘境」とも呼ばれる。
【歴史】
大杉谷は大台ヶ原を源とする宮川の上流に刻まれた峡谷で、吉野熊野国立公園に含まれ、国の天然記念物にも指定されています。古くから人の通う道が細々と続いてきましたが、2004年9月の台風によって登山道はおよそ50か所が崩れ、吊橋10本が流失しました。復旧工事は難航し、全線を再び歩けるようになったのは10年後の2014年4月のことです。長い封鎖を経て、ようやく往時の道がよみがえりました。
【特徴】
三重県大台町にある大杉谷は、年間の降水量が4000ミリを超えることもある日本有数の多雨地帯に位置しています。豊かな雨がスギやツガの原生林を育て、削られた岩盤の底にはエメラルドグリーンの淵が連なります。台高山脈の主峰である日出ヶ岳の東側に深く切れ込んだ谷は、黒部峡谷に匹敵する渓谷美をたたえ、「近畿の秘境」とも呼ばれてきました。手つかずの森と水の透明度の高さは、訪れた人の記憶に長く残ります。
【見どころ】
日本の滝百選に選ばれた七ツ釜滝は大杉谷を代表する名瀑で、七段に連なる滝壺が優美な曲線を描いています。両岸の岩に挟まれた水面の向こうに滝が姿を見せるシシ淵、落差のあるニコニコ滝や千尋滝、最奥の堂倉滝など、変化に富んだ水の風景が道中を彩ります。中ほどにある桃の木山の家に一泊し、大台ヶ原へ抜ける一泊二日の行程が定番で、日帰りで七ツ釜滝まで往復する歩き方も知られています。
【トリビア】
大杉谷は観光地ではなく本格的な登山道で、鎖場や断崖に架かる細い桟道が続くため、相応の装備と体力が欠かせません。2016年にはユネスコの生物圏保存地域が拡張され、登録名称が「大台ヶ原・大峯山・大杉谷」へと改められました。黒部峡谷や清津峡と並ぶ日本三大峡谷でありながら、今も人を選ぶ厳しさを保ち続けている谷であり、その静けさこそが最大の価値だといえるでしょう。

