【概要】
島根県松江市にある国宝。別名「千鳥城」。黒い下見板張りの実戦的な外観が特徴。国宝指定されたのは2015年と比較的最近。
【歴史】
慶長16年(1611年)、関ヶ原の戦いで武功を挙げた堀尾吉晴によって築城されました。5年の歳月をかけて宍道湖畔の亀田山に築かれ、その後、京極氏を経て松平氏(越前松平家)の居城となり、明治維新まで10代にわたり続きました。2015年に、天守が完成した年(慶長十六年)を記した「祈祷札(きとうふだ)」が城内の神社で再発見されたことが決定的な証拠となり、64年ぶり5番目の国宝天守に指定されました。
【特徴】
松江城天守は、黒塗りの雨覆板(下見板張り)で覆われた質実剛健で黒っぽい桃山様式の外観が特徴です。華美な装飾は少なく、鉄砲狭間や石落としなど実戦本位の造りとなっています。一方で、屋根の千鳥破風が羽を広げた鳥のように見えることから「千鳥城」という優雅な別名をもちます。また、内部には井戸が現存しており、籠城戦を想定した備えが万全であったことが分かります。天守内に井戸が現存するのはここだけです。
【見どころ】
天守最上階の望楼は、壁がなく四方が開け放たれた「桐の形式」と呼ばれる古い様式で、ここからは松江市街や宍道湖、遠く中国山地まで360度見渡すことができます。特に夕暮れ時の宍道湖の美しさは格別で、「水の都」松江のシンボルにふさわしい眺めです。また、天守を支える柱には、多くの「包板(つつみいた)」が施されており、不良材や短材を鉄輪で締め上げて補強して使う当時の工夫を見ることができます。
【トリビア】
松江城の石垣は「野面積み(のづらづみ)」や「打ち込み接ぎ」など、築城当時そのままの姿をよく残しており、その石積み技術の高さも見どころの一つです。また、石垣の中にはハート型の刻印がある石が含まれている場所があり、これを見つけると縁結びの御利益があるというパワースポットとして若い女性やカップルに人気を集めています。小泉八雲もこの城からの風景をこよなく愛しました。


