【概要】
鹿児島県薩摩川内市の上甑島にある国内最大規模のトンボロ。幅約200m、長さ約1.5kmに及ぶ砂州の上に「里」の集落が形成されている。両側を海に挟まれた細長い土地に家々が密集する独特の景観は、島のシンボルとなっている。
【歴史】
鹿児島県薩摩川内市に属する甑島列島、上甑島の北東にある甑島の里は、島の北端の遠見山を陸繋島とするトンボロの上に開けた集落です。東の海から襲う台風の波と、西から吹きつける冬の季節風によって沿岸海底の砂礫が押し上げられ、長い時間をかけて砂州が形づくられたと考えられています。江戸時代には薩摩藩の甑島郷が置かれ、1891年から2004年までは里村という自治体でした。
【特徴】
この砂州は全長が約1400メートル、最も狭い部分の幅が250メートルで、標高はわずか2.3メートルしかありません。砂州は10センチ×5センチほどの大きさの礫で構成されており、一般的な砂丘や砂嘴に見られる細かい砂礫が少ないのも特徴です。西岸は西之浜海水浴場、東岸は本土と結ぶ定期船が発着する里港となっており、トンボロの上に立つ集落としては日本国内で最大規模とされています。
【見どころ】
対岸の高台にある「トンボロ展望所」からは、両側を海に挟まれた細長い砂州に家々が密集する全景を一望でき、海に架かる一本の道のような光景に息をのみます。島の北西部には、幅約50メートル、長さ約4キロメートルの砂州が海を仕切る「長目の浜」もあり、内側に並ぶなまこ池・貝池・鍬崎池はそれぞれ塩分の濃さが異なり、ナマコや貝類、大ウナギなどが暮らす独特の生態系を育んでいます。
【トリビア】
長目の浜という名は、2代薩摩藩主の島津光久がその美しさに「眺めの浜」と呼んだことに由来すると伝わり、2015年には潟湖群の植物群落が国の天然記念物に指定されました。島には白亜紀後期の姫浦層群が分布し、恐竜やワニ、カメ、アンモナイトなどの化石も見つかっています。2020年8月には全長1533メートルの甑大橋が開通し、上甑島から下甑島までが陸路で結ばれました。

