【概要】
からすみは長崎県の名産品で、ボラの卵巣を塩漬けにして乾燥させたものです。その形が中国の墨(唐墨)に似ていたことから名付けられました。琥珀色の美しい輝きと、チーズのような濃厚なコクがあり、薄く切って炙ったり、パスタに使ったりして楽しまれます。
【歴史】
からすみは、ボラの卵巣を塩漬けにしてから塩を抜き、天日で干し上げた珍味です。製法は中国から伝わり、承応年間、西暦1650年代に日本へもたらされたといわれます。長崎では延宝三年、西暦1675年に創業した高野屋の初代高野勇助が、野母崎の周辺で多く獲れるボラの卵を用いる製法を案出したと伝わり、肥前のからすみとして名を知られ、幕府への献上品にもなりました。
【特徴】
その名は、形が中国伝来の墨である唐墨に似ていることに由来します。琥珀色の半透明な塊はねっとりと粘り、噛むほどに濃い塩気と魚卵の旨味がにじみ出て、熟成したチーズを思わせる風味から海のチーズとも呼ばれます。塩漬けにしたあと一日かけて塩を抜き、小ぶりのもので一週間、大きなものでは十日以上も天日に干して、天日の力を借りてじっくりと仕上げられていきます。
【食べ方】
薄く切ってそのまま食べるほか、軽く炙ると香りが立ちのぼり、表面がふくらんで口当たりが柔らかくなります。定番は薄切りの大根やかぶで挟む食べ方で、みずみずしさがからすみの強い塩気をやわらげ、日本酒や焼酎がいくらでも進みます。細かく削ってご飯にかけたり温かいパスタにあえたりするのもよく、地中海の同じような品はボッタルガの名で古くから親しまれています。
【トリビア】
原料のボラは成長につれて呼び名の変わる出世魚であるため、からすみは縁起物とされ、正月のおせち料理や祝いの席に欠かせない品として供されてきました。長崎県長崎市には江戸時代からの老舗が今も店を構え、土産物としても名高い品です。時の天下人であった豊臣秀吉も味わって称賛したという話が伝わりますが、どこまで確かかは定かでなく、人気ぶりを物語る逸話として語られています。

