【概要】
佐賀県有田町にある柿右衛門窯は、十七世紀に赤絵の焼成に成功したと伝えられる酒井田家の窯元です。乳白色の素地である濁手に、余白を大きく取った花鳥の絵付けを施す柿右衛門様式で知られ、その器は長崎からヨーロッパへ渡り、ドイツのマイセンなどでも写されました。当主の名は代々受け継がれ、現在は十五代が伝統を守り続けています。
【歴史】
柿右衛門窯の歴史は、初代酒井田柿右衛門が正保四年にあたる1647年ごろに赤絵の焼成に成功したと伝えられるところから始まります。十七世紀後半には濁手の素地と余白を生かした絵付けを組み合わせる様式が整い、有田の磁器は長崎の出島を経てヨーロッパの王侯貴族のもとへ運ばれていきました。以後、当主の名は十五代まで受け継がれています。
【特徴】
柿右衛門窯を特徴づけるのは、濁手と呼ばれる温かみのある乳白色の素地です。わずかに黄みを帯びた地肌に、赤を主調とした赤や黄や緑の上絵具で花鳥や草花を描き、画面の多くをあえて余白として残します。左右非対称の構図と細い輪郭線が生む軽やかさは柿右衛門様式と呼ばれ、後の伊万里焼や西洋の磁器にも影響を与えました。
【見どころ】
佐賀県有田町にある窯の敷地には柿右衛門古陶磁参考館が併設されていて、十二代から十四代までの作品や歴代が集めた古陶磁が並びます。同じ敷地の展示販売場では現在の窯で焼かれた器を手に取って選ぶことができ、赤絵を描く仕事場の空気も感じられます。開館時間や休館日は変わることがあるため、訪ねる前に確認しておくと安心です。
【トリビア】
1971年には柿右衛門製陶技術保存会が守る柿右衛門の濁手が国の重要無形文化財に総合指定され、一度は途絶えかけていた技法があらためて評価されました。さらに十四代酒井田柿右衛門は2001年に色絵磁器の重要無形文化財保持者、いわゆる人間国宝に認定されており、窯としての評価と当主個人の評価がともに重なっている、全国でもまれな窯元といえます。
