【概要】
元興寺は奈良県奈良市にある真言律宗の寺院で、日本三大寺の一つ。日本最古の本格的寺院である飛鳥寺(法興寺)を前身とし、平城遷都に伴い現在地に移転した。世界遺産「古都奈良の文化財」の構成資産で、本堂の屋根瓦には飛鳥時代のものが今も残る。
【歴史】
元興寺は奈良県奈良市のならまちにある真言律宗の寺院で、その前身は崇峻天皇元年(588)に蘇我馬子が飛鳥に建立を始めた法興寺(飛鳥寺)である。日本最古の本格的寺院とされ、平城京遷都に伴い養老2年(718)に現在地へ移されて元興寺と改称された。南都七大寺の一つとして広大な伽藍を誇ったが、中世以降は衰退し、僧坊から発展した極楽坊が鎌倉時代に独立して現在の元興寺へと続いている。
【特徴】
元興寺の本堂(極楽堂)と禅室は鎌倉時代の建物で、ともに国宝である。屋根の一部には飛鳥時代から奈良時代の古瓦が今も葺かれ、丸瓦を重ねる「行基葺き」の独特な姿を見せる。本尊は奈良時代の学僧・智光が感得したと伝わる浄土図「智光曼荼羅」で、浄土信仰の発祥にゆかりが深い。奈良時代の五重小塔も国宝で、当時の塔建築の細部を伝える貴重な遺構として知られ、宝物館の法輪館に安置されている。
【見どころ】
極楽堂の屋根瓦は、色や質感の異なる瓦が幾重にも重なり、南側から眺めると魚の鱗のような美しい模様を描く。境内の収蔵庫「法輪館」では五重小塔や仏像、庶民の祈りを伝える多数の民俗資料を公開している。毎年8月23日・24日の地蔵会万灯供養では、境内に無数の灯明が並び、幻想的な光景が広がる。元興寺は平成10年(1998)に「古都奈良の文化財」の一つとして世界遺産に登録された。
【トリビア】
元興寺の旧境内は江戸時代以降に市街地となり、これが現在の「ならまち」の風情ある町並みの原形となった。境内からは膨大な中世庶民の信仰資料が出土しており、寺は元興寺文化財研究所を設けて研究と保存に取り組んでいる。かつて寺には鬼を退治した僧の伝説があり、「元興神(がごぜ)」と呼ばれるその鬼は、ならまちの土産や行事のモチーフとして親しまれている。日本三大寺の一つに数えられる。

