【概要】
千葉県南房総地域で作られる「房州うちわ」は、細い女竹(めだけ)を使用し、竹の丸みをそのまま活かした「丸柄」が特徴です。うちわ面には「窓」と呼ばれる半円形の格子模様が美しく編み込まれています。しなやかで風当たりが優しく、実用性と美しさを兼ね備えた工芸品です。
【歴史】
房州うちわの産地では、明治十年代から那古港の周辺でうちわの骨づくりが始まったと伝わり、1884年(明治17年)に那古の岩城惣五郎が骨の生産を起こしたという説も残ります。大きな転機は1923年(大正12年)の関東大震災で、被災した東京の団扇問屋や職人が房州へ移り住み、骨だけでなく完成品まで手がける一大産地へと発展し、房州うちわの名が全国に知られるようになりました。
【特徴】
千葉県南房総市を中心に作られる房州うちわは、地元に自生する細い女竹をそのまま柄に用いる「丸柄」が最大の特徴です。竹の丸みと節が手になじみ、しなやかにたわむため風当たりがやわらかいといわれます。先端を四十八本から六十四本に割いた骨を糸で編み込み、半円形の格子模様「窓」をつくる工程が、房州うちわ独特の美しさを支えています。編み目の細かさは職人の腕の見せどころでもあります。
【見どころ】
骨を編んだ「窓」の格子と、その上に貼られる和紙や染め布の柄との取り合わせが見どころです。竹の節や色合いをそのまま生かした素朴なものから、藍染めや手描きの絵柄をあしらった華やかなものまで幅広く揃います。南房総の工房には絵付けや紙貼りを体験できるところもあり、旅の記念として自分だけの一本を仕立てて持ち帰ることもでき、夏の贈り物としても喜ばれています。
【トリビア】
制作は竹の選別から割竹、編み、紙貼り、仕上げまで二十一の工程に分かれ、そのすべてが手仕事で行われています。1984年に千葉県の伝統的工芸品となり、2003年(平成15年)には県内で初めて国の伝統的工芸品に指定されました。国の指定を受けたうちわは、京うちわ、丸亀うちわ、そして房州うちわの三つだけで、この三つをまとめて日本三大うちわと呼ぶのが通例となっています。

