【概要】
京都の伝統工芸品である「京うちわ」は、「都(みやこ)うちわ」とも呼ばれます。最大の特徴は、うちわ面と柄(え)が別々に作られ、後から柄を挿し込む「挿し柄(さしえ)」構造です。宮廷文化の影響を受けた優美な絵柄や、透かし彫りなどが施され、実用品としてだけでなく芸術品としての側面も強く持っています。
【歴史】
京うちわの起源は南北朝時代にさかのぼり、朝鮮半島から伝わった団扇が紀州から大和を経て、貴族の別荘地であった深草の地に伝えられたのが始まりとされます。やがて宮廷で用いられるようになり、土佐派や狩野派の絵師が絵を描いた優美なうちわは「御所うちわ」と呼ばれました。宮廷文化に育まれた京うちわは、1977年(昭和52年)に国の伝統的工芸品に指定されました。
【特徴】
京都府京都市に受け継がれてきた京うちわは、「都うちわ」の別名でも知られます。最大の特徴は、うちわ面と柄を別々に作り、後から柄を差し込んで仕上げる「差し柄(挿柄)」の構造にあります。細く割いた竹の骨は五十本から百本にも及び、扇面には放射状の繊細な線が広がります。柄には竹のほか、漆塗りや杉といった上質な素材も用いられ、面と柄それぞれに専門の職人の技が注ぎ込まれています。
【見どころ】
扇面には透かし彫りや木版摺り、手描きの絵が施され、風を送る道具というより「見て楽しむうちわ」としての性格が際立ちます。中でも柄の長い京丸うちわは、舞妓や芸妓が名入りで贈答に用いる花街ならではの品です。骨の一本一本が透けて見える薄紙越しの光や、柄の付け根に凝らされた意匠など、細部にこそ京うちわの真価があらわれます。手に取って光にかざしてみると、その繊細さがいっそう際立ちます。
【トリビア】
京うちわの制作は、竹の骨づくりから紙貼り、断裁、柄付けまで二十以上の工程に分かれ、それぞれを専門の職人が分担してきました。夏には料亭や町家の室礼として床の間や壁に飾られ、涼を目で感じる道具として親しまれています。近年は照明の傘やインテリアパネル、贈答用の飾りうちわなど、伝統の技を生かした新しい商品も次々に生み出され、若い世代にも手に取られています。
