そば王国・信州(長野県)を代表する、豊かな大自然と独特の伝統技法で打ち上げられる3つの郷土そばシリーズです。山岳信仰の聖地で生まれた「ぼっち盛り」が特徴の戸隠そば、御嶽山の麓の冷涼な気候が育む芳醇な開田そば、そして幻のつなぎ「オヤマボクチ」を使う富倉そばの3つが名高いそば文化の極致を体現しています。
A.竹ざるに一口大にまとめた麺を五束から六束ほど整然と並べる盛り付けです。茹でた麺の水をよく切らずに盛るのも戸隠そばの特徴で、見た目が美しいうえ一束ずつつゆに浸しやすい利点があります。ぼっちは一束を指す呼び名と考えられていますが、由来ははっきりしていません。
A.地元では山ごぼうとも呼ばれるキク科の山野草で、その葉の裏に生える白い繊維をつなぎとして練り込みます。小麦粉の入手が難しかった山間部の知恵から生まれた製法で、わずか数グラムの繊維を取り出すにも大量の葉を煮て手作業で水洗いする手間がかかります。
A.開田高原の朝夕に立ち込める深い霧が、良質なソバの実を育てるとされるためです。昼夜の激しい寒暖差や御嶽山系の伏流水とあわせて、小粒ながら甘みと香りの凝縮した実が育ち、地元には「霧がそばを美味くする」という言い伝えも残っています。
A.戸隠そばは、平安時代に戸隠山の修験者が携行しやすいそば粉を食料としたことに始まると伝えられています。開田そばは、米作りに適さない冷涼な高原でソバが盛んに作付けされたことから、富倉そばは、冬場に小麦粉が手に入りにくい豪雪地帯の知恵から生まれました。
A.三つとも長野県にあります。戸隠そば(長野市)と富倉そば(飯山市)は直線距離で約30kmと近く、木曽町の開田そばとは戸隠から約100km、富倉から約130km離れています。開田そばだけが、ほかの二つから大きく離れた位置にあります。