【概要】
日本一の生産量を誇る酒どころ「灘五郷」。西郷・御影郷・魚崎郷・西宮郷・今津郷の5つの地域の総称です。「宮水」と呼ばれる名水と良質な酒米、そして丹波杜氏の技が生み出す「灘の男酒」は、キレのある辛口が特徴。各酒蔵が蔵開きなどのイベントを頻繁に開催しており、酒蔵巡りが楽しめます。
【歴史】
灘の酒蔵(灘五郷)は、兵庫県神戸市にあり、西郷・御影郷・魚崎郷と、西宮側の西宮郷・今津郷を合わせた五つの酒どころの総称です。江戸時代には伊丹や池田に代わって台頭し、樽廻船で江戸へ運ばれる「下り酒」の主役となり、江戸で消費される酒の多くを占めたと伝わります。天保十一年(1840年)には櫻正宗の山邑太左衛門が仕込みに適した名水「宮水」を見いだし、灘の地位を決定づけました。
【特徴】
灘の酒の特徴は、ミネラルに富み鉄分の少ない硬水「宮水」を用いる点にあります。発酵が力強く進み、キレのある辛口に仕上がることから「灘の男酒」と呼ばれてきました。六甲の山並みから吹き下ろす冷たい風が寒造りを支え、播州平野で育つ酒米・山田錦と丹波杜氏の技が加わって、剣菱や菊正宗、白鶴、沢の鶴といった数々の銘柄が生まれ、燗をつけても崩れない骨格のある酒として親しまれてきました。
【見どころ】
見どころは、阪神電車や阪急電車の駅から歩いて回れる酒蔵の見学施設です。白鶴酒造資料館は大正期に建てられた木造の酒蔵をそのまま生かし、等身大の人形によって昔ながらの手作業の工程を再現しています。菊正宗酒造記念館や沢の鶴資料館には国の重要有形民俗文化財に指定された酒造用具が並び、見学のあとに搾りたての生原酒や季節限定の酒を試飲でき、売店では蔵でしか買えない一本にも出会えます。
【トリビア】
宮水が湧き出すのは西宮郷の一角に限られており、神戸側の蔵は今もこの水を運び込んで仕込みに使っています。水源を守るため、周辺では掘削や地下工事に配慮する取り決めが長く続けられ、酒蔵が共同で水質を見守ってきました。灘の酒蔵(灘五郷)を束ねる灘五郷酒造組合には現在二十五の酒造会社と一社のみりん製造会社が加盟し、日本一の酒どころとしての看板を今日まで支え続けています。

