【概要】
熊本県は日本一の馬肉生産・消費量を誇り、馬刺しは県民のソウルフードとして親しまれています。特徴は、脂の甘みととろけるような食感が魅力の「霜降り肉(しもふり)」です。地元の甘口醤油に、すりおろしたニンニクや生姜を薬味として添えて食べるのが一般的です。栄養価が高く、古くから滋養強壮として食されてきました。
【歴史】
熊本馬刺しの起源は、肥後熊本藩の初代藩主となった加藤清正が朝鮮出兵の際に食糧が尽き、やむなく軍馬を口にしたところ思いのほか美味であったため、帰国後も馬肉を好んで食べるようになったことにあると伝わります。以来、肥後では馬を食用とする文化が根づき、阿蘇の草原をはじめ県内各地で馬の肥育が盛んに行われるようになりました。今では馬刺しは県民のソウルフードとして定着しています。
【特徴】
熊本県は馬肉の生産量も消費量も全国一で、国内生産のおよそ四割を占めるとされています。熊本馬刺しの魅力は部位の豊富さにあり、脂がのって甘みのある霜降り、あっさりとした赤身、たてがみの下の脂身である「コウネ」、ばら肉の「フタエゴ」、大動脈の「ネッコ」など、一頭からさまざまな味と食感が取れます。低脂肪高たんぱくで鉄分やカルシウム、亜鉛といったミネラルにも富み、滋養のある食材として重宝されてきました。
【食べ方】
熊本馬刺しは、薄く切った生肉に九州特有の甘口醤油を合わせ、おろしニンニクや生姜、薄切りの玉ねぎを薬味として添えるのが定番です。霜降りは口の中でとろけ、赤身は噛むほどに旨味が広がるため、部位を食べ比べるのが醍醐味といえます。熊本県熊本市には馬刺しを出す居酒屋や専門店が数多くあり、辛子蓮根などの郷土料理と合わせて味わえます。新鮮なものほど臭みがなく、上品な旨味が広がります。
【トリビア】
馬肉は「さくら肉」とも呼ばれますが、これは切り身が鮮やかな桜色をしているからという説のほか、桜の咲く頃が旬にあたるからという説も伝わります。熊本では馬刺しに加え、桜納豆や馬肉のたたき、馬レバーの刺身など食べ方も多彩です。冷凍技術が発達した近年は、真空パックの馬刺しが土産物や取り寄せ品として全国に流通し、家庭でも本場の味を再現できるようになりました。
