【概要】
埼玉県と山梨県の県境に位置する標高2,082mの峠です。「日本最古の峠」とも呼ばれ、歴史的な交易路として栄えました。日本三大峠の一つとされ、現在は登山道が整備されていますが、雁坂トンネル開通までは「開かずの国道」として知られていました。
【歴史】
雁坂峠は埼玉県秩父市にある標高2082メートルの峠で、山梨県との県境の稜線上に位置し、日本三大峠の一つに数えられています。古くは武蔵国と甲斐国を結ぶ秩父往還の要所で、江戸時代から大正時代にかけては秩父で産した繭や生糸を甲州側へ運ぶ道としても使われました。現在は車道が通らない静かな山道として残り、奥秩父主脈縦走路の一部を歩く登山者に親しまれています。
【特徴】
雁坂峠は奥秩父山塊の主稜線上にあり、埼玉県側の登山口からはおよそ四時間から五時間、山梨県側からは三時間ほどの登りで到達します。峠の直下を国道140号の雁坂トンネルが貫いていますが、それが開通する1998年までこの区間には車の通れる道がなく、国道でありながら歩いてしか越えられないことから「開かずの国道」と呼ばれていました。
【見どころ】
峠に立つと視界をさえぎるものがなく、天気に恵まれれば富士山や南アルプス、奥秩父の山並みまで見渡すことができます。ここから雲取山や甲武信ヶ岳へ足を延ばす縦走も人気です。埼玉県側の登山口からは日帰りも可能ですが、期間を限って営業する雁坂小屋に一泊すれば余裕のある行程が組めます。十月中旬から十一月上旬の紅葉の時期はことのほか美しく、多くの登山者でにぎわいます。
【トリビア】
雁坂という名は、秋に渡り鳥の雁がこの鞍部を越えていく姿に由来すると伝えられています。峠の下を抜ける雁坂トンネルは全長6625メートルあり、開通によって秩父と甲府盆地が車で直接結ばれました。それまで両地域を行き来するには大きく迂回するほかなく、峠越えの道が長らく生活と物流を支えていたことがうかがえます。今も峠道には往時の面影が残ります。
