【概要】
1954年末から約3年続いた好景気。初代天皇・神武天皇即位以来の好景気という意味で名付けられた。「三種の神器(白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫)」が普及し、経済白書には「もはや戦後ではない」と記された。位置情報は名前の由来となった橿原神宮。
【歴史】
神武景気は、1954年(昭和29年)12月から1957年(昭和32年)6月まで31か月続いた好景気で、高度経済成長期の幕開けを告げる出来事でした。朝鮮戦争の特需が去ったあとの停滞を抜け出し、日本経済はようやく本格的な拡大の軌道に乗ります。初代天皇である神武天皇の即位以来これほどの繁栄はなかった、という評判が広まり、この名で呼ばれるようになりました。
【特徴】
景気を押し上げたのは、企業が競って行った旺盛な設備投資と、家庭に広がった耐久消費財への需要でした。白黒テレビ、電気洗濯機、電気冷蔵庫は「三種の神器」と呼ばれて庶民の憧れとなり、家事の負担を軽くして暮らしを大きく変えていきます。1956年度の経済白書に記された「もはや戦後ではない」という一節は、時代の気分を映す流行語となりました。家電を扱う店が街に増え、消費が成長を支える構図が生まれました。
【見どころ】
神武景気の名の由来となった神武天皇を祀るのが、奈良県橿原市にある橿原神宮です。畝傍山の東南の麓、神武天皇が即位したと伝わる橿原宮の跡地に明治期に創建され、広大な神域と檜造りの社殿が神話の世界を今に伝えています。周囲には藤原京跡や大和三山も控えており、日本の始まりの地とされる一帯をゆっくり歩くことができます。毎年2月11日の紀元祭には多くの参拝者が訪れます。
【トリビア】
神武景気は、急速な拡大にともなって輸入が増え、国際収支が悪化したことで金融引き締めがとられ、幕を閉じました。当時は成長が続くと必ず外貨不足に突き当たったため、この壁は「国際収支の天井」と呼ばれています。続く反動不況は、景気の底が平らなまま長引いたことから「なべ底不況」と名づけられ、次の岩戸景気へと引き継がれました。神武景気という呼び名は、当時の経済誌の記事から広まったと伝わります。
